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酒井若菜 (さかい・わかな)
1980年、栃木県生まれ。TV「池袋ウエストゲートパーク」、映画「木更津キャッアイ 日本シリーズ」のヒットに続いて、続編「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」に出演。すでに撮影は終了。岩井俊二初プロデュース作品「虹の女神」とともに秋公開予定。
★オフィシャルホームページ「酒井若菜診断」
http://www.sakaiwakana.com
—— 小さい時に読んだもので記憶に残っているのは?
小学校1、2年生の頃から小学校を卒業するまで何度も読み返したのがこの2冊ですね。
まず、マージェリィ・ウィリアムズ「ビロードうさぎ」(童話館出版)。ずっと探していた本です。クリスマスに贈られたぬいぐるみのうさぎが、本当のうさぎになりたくて、がんばったけど、結局本物になれなかったという切ないお話。絵がものすごく繊細だったのを覚えています。
あと西内ミナミ・堀内誠一「ぐるんぱのようちえん」(福音館書店)。体の大きいゾウさんのお話で、いろんな仕事に挑戦するけど、結局、体が大きすぎたり不器用だったり……なかなかうまくいかない。そのうち体の大きさをコンプレックスに思うようになってしまったのです。それが、ある日体の大きさを生かして長い鼻を滑り台にして子供達と遊んでみたら、ものすごく喜んでもらえた……。コンプレックスを役立 ててみんなをハッピーにさせたというお話ですね。
—— 高校生ぐらいになると、どんな本を読んでいましたか?
高校生の時に本屋でアルバイトをしていたのですが、その本屋さんのおばさんがすすめてくれたのがこの本です。星野富弘「鈴の鳴る道」(偕成社)。作者の星野さんは手が不自由で、口に筆をくわえて詩画を描きます。詩の部分は口述筆記で書いてもらったもの。星野さんの実体験からのお話なのでしょうが、誰にでもわかりやすく共感できます。やわらかく、やさしく、サプリメントのように心に染み込んで、すーっとする感じでしょうか。
星野さんの他にもう一人好きな作家さんは、相田みつをさん。星野さんの本が、やさしく肩を抱いてくれる母親のようだとすると、相田みつをさんは、自分を戒める時、立ち止まっている自分の背中を押してもらいたい時に頼りになる、なんというかまるで父親のような感じ。
相田さんの本について共通していえることは、「根っこを大事にする」ということでしょうか。しっかりと土の中に根を張って初めて美しい花を咲かせることができるのだと。見えないところの努力がたいせつなのだと。
この2人の作家さんの本は、私の本棚から絶対失くせませんね。
何かあった時すぐ手 にとれるように近くに置いておきたいです。
それと、もう一つあげたいのが別府浩実「ぼくは ここに いる」(至光社)。いろんな本を紹介するコラムを書いていた時に、別府浩実さんが本を贈ってくださったのです。余命半年を告げられ、妻子を残してこの世を去らなければならなくなった時に書いた詩集です。悲しいけれど、生きる力が、勇気がわいてきます。
この3冊は、自分の中の道しるべ。心が疲れてしまった時や何か求めている時にはこれらの本を読み返します。
—— 絵本、誌画集のほかには、どのような本が好きですか?
絵本、誌画集ばかりではなく、エンターテインメントももちろん好きです。ミステリーは大好きですね。特に東野圭吾さん。
最初に読んだのが「片想い」(文藝春秋)。本屋さんで偶然にも、たまたま手に取った本ですが、シンプルな表紙で、タイトルも軽い感じだったので、ただ目に留まったというだけで買ってみました。読んでみたら内容は、表紙のデザインと違って、軽くなくて驚いたのですが、引き込まれましたね。それから「白夜行」(集英社)「幻夜」(集英社)と読んでいきました。どちらかというと「白夜行」が好きです。
小学校の時に聞いた音とか、色とか、ちょっとした描写が物語の伏線になっていたりしますよね。一回読んだだけだと気づかなかったりするのですが、そんなさり気なくて細やかな構成が好きです。綾辻行人「十角館の殺人」(講談社)とか、館シリーズもよく読みました。
—— 最近のお気に入りは?
なんといっても一番のおすすめは雫井脩介さん。連続児童殺人事件のTVを使った捜査を描いた「犯人に告ぐ」(双葉社)。その後に「クローズド・ノート」(角川書店)を読みました。「クローズド・ノート」は普通の女子大生の初恋を描いた作品ですが、とてもリアルで、これを書いたのが男性だとは、とても信じられなくて。「犯人に告ぐ」と全く違ったタッチなので、同じ作家の作品とは思えなかったです。それで、雫井脩介さんに関心を持って読み始めて、たどり着いたのが「火の粉」(幻冬舎)です。これがまたすごく面白くて、びっくりしました。私の一番のおすすめです。皆さん是非読んでください!
裁判官として、かつて無罪判決を下した男が隣に引っ越してくるところから、話は始まるのですが、そこからの構成がいいですね。1章と最終章だけ元裁判官の視点で書かれていますが、その間は違う視点で描かれていてこれがとても効果的だと思います。無罪判決を受けた男もいい人のように見えるが、裏がありそうに描かれていて。人間を白か黒かでなくて、良いところも悪いところも併せ持った存在として立体的に描かれているところが素晴らしかったです。男をとりまく女性心理描写もすごくよかったです。
—— 雫井脩介さんは、最近の一番の収穫ということですね。
そうです。東野さん以来の衝撃だったです。もうひとつあげるとすればミステリーではないですが、最近いちばん泣けたということで重松清「卒業」(新潮社)。その中の「まゆみのマーチ」です。意識不明の母親にまつわるお話なのですが、娘がいかに愛されていたか思い出をたどりながら実感してゆくという短編。自分がお母さん子だったからでしょうか?やたら涙が出てしまいました。
—— 本はどこで探しますか?
時間がある時は絶対、大型書店ですね。2時間ぐらいかけて色々見て歩きます。まず小説、エッセイ、新刊、好きな作家さんのところをチェックして、文庫コーナーもいきます。平積みはもちろんですが、POPなども参考にします。東野さんの「片思い」は、表紙のデザインで決めましたが、それは珍しいですね。普通は、しっかり内容を見てから買います。
—— ネットで色々と本を調べたりはしますか?
私、インターネットはダメなのです。色々な方に教えて頂くことが多いですね。たまたまですけど、周りに本好きの方が多いので、いい本に巡り会える環境に恵まれています。そういえば石田依良さんとお話する機会があった時に雫井脩介「栄光一途」(幻冬舎)を薦められたこともありました。そういえばまだ読んでいませんでした。すぐ読まないと……、楽しみだなあ。
爆笑問題の太田さんに教えていただいたのが、現代国語の教科書にでてくるような宮沢賢治「銀河鉄道の夜」(新潮社)、太宰治「人間失格」(新潮社)、高村光太郎「智恵子抄」(新潮社)とか。今、読んでみたら面白いですね。
—— 本屋さんの思い出といえば?
学生時代に、母親の知り合いの本屋さんでバイトさせて頂いたことがあって、実は、タレントデビューしてからも、しばらく働いていました。栃木に住んでいたので、東京までのオーディション代が必要だったんです。
自分のグラビアが載っている雑誌とか売ったりしましたよ。小さい本屋さんなので、なんでもやりました。レジ、棚卸し、注文……。面白そうな本は、奥から出してきて目立つところに並べたり、そうすると面白いように売れたりして、そうするとすごくうれしかったですね。そうそう、手書きでPOPなんかも自分でおもいきり書いていました。
—— 書店員さんが売りたい本を選ぶ「本屋大賞」をご存知ですか?
知っています。確か「博士の愛した数式」が受賞していましたね。それで読んだ覚えがあります。今年は、リリーさん「東京タワー」(扶桑社)ですか? すごいですね。初小説「ボロボロになった人へ」(幻冬舎)も本人にいただいて読ませて頂きました。
—— お仕事の近況を教えて頂けますか?
映画の撮影が2本終わりました! 「虹の女神」と「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」に出演させていただきました。「虹の女神」は岩井俊二さんの初プロデュース作品だそうです。「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」は、日本シリーズの続編です。ワールドシリーズというと日本を飛び出して…… という風に思うかもしれませんが、舞台はしっかり木更津です。今年の秋に公開になりますので、映画館にぜひお越しください。
—— 楽しいお話ありがとうございました。
「ビロードうさぎ」マージェリィ・ウィリアムズ著(童話館出版)
「ぐるんぱのようちえん」 西内ミナミ, 堀内 誠著(福音館書店)
「鈴の鳴る道—花の詩画集」星野富弘(偕成社)
「にんげんだもの」相田みつを (文化出版局)
「ぼくは ここに いる」別府浩実(至光社)
「片想い」東野圭吾(文春文庫)
「白夜行」東野圭吾(集英社文庫)
「十角館の殺人」綾辻行人(講談社文庫)
「犯人に告ぐ」雫井脩介
(双葉社)
「クローズド・ノート」雫井脩介
(角川書店)
「火の粉」雫井脩介
(幻冬舎)
「卒業」重松清(新潮社)
「智恵子抄」高村光太郎(新潮文庫)