ホーム > LOVE書店! > STARの1冊 > 第4回河合美智子さん
河合美智子 (かわい・みちこ)
1968年6月13日、神奈川県出身。映画「ションベン・ライダー」で主演、歌手デビュー。映画「野蛮人のように」「恋人たちの時刻」TBS「時間ですよ、ふたたび」フジテレビ「抱きしめたい!」NHK教育「YOU」司会「平成教育委員会」でも活躍。NHK「ふたりっ子」に演歌歌手オーロラ輝子役で出演、劇中で歌う「夫婦みち」も大ヒットNHK「紅白歌合戦」に初出場。ラジオ「高田純次・河合美智子の東京パラダイス」(文化放送 土曜日16:00〜17:15)放送中。
—— 小さい頃の読書体験で覚えている作品があれば教えてください。
小学校の3〜4年生の頃でしょうか、多分娘さんのおさがりだと思いますが、近所のおばさんから全30巻ぐらいの世界文学全集をいただいて夢中で読みました。なかでもビュルガー「ほら男爵の冒険 少年少女世界名作全集」(ぎょうせい)、セルマ・ラーゲルレーフ「ニルスのふしぎな旅」(講談社)は今でも覚えています。「ほら男爵」は、妄想が激しい人なのですが自分を信じて突っ込んでいくところがカッコイイ。ニルスも最初はちょっと悪い子だったけれど、ガチョウにのって旅をするうちにだんだんいい子になってゆく。いつも普通にちゃんとしている人より、ちょっと変わった人が昔から好きだったみたいです。あと、図書館にあったコナン・ドイル「名探偵ホームズ」シリーズ(ポプラ社)を読んでいました。
—— 本格的にいろいろと読み出したのは?
私は中学生でデビューしたのですが、当時は平塚から東京まで通う電車の中でけっこう読みました。通勤に2時間ぐらいかかるので、赤川次郎「三姉妹探偵団」シリーズ(講談社文庫)などは、ちょうど1冊読めちゃいました。あと、赤川次郎「夜」(角川書店)も好きです。これはパニックものというか、ある町が地震でライフラインを断たれて陸の孤島になり、その閉ざされた闇の中で獣のような何かが襲ってくるというとっても怖い小説だったのを覚えています。
—— 最近のお気に入りは?
おすすめなのが、宮部みゆき「蒲生邸事件」(文春文庫)。ある受験生がホテル火災に見舞われて、超能力者に救われたはいいが、なんと2.26事件が起きようとする昭和11年にタイムスリップ。殺人事件あり、恋あり、友情あり。エンディングもいいです。
私は、好きな作家さんの作品をずっと追いかけて読む方で、とくに宮部みゆきさんは大好きです。うまいですよね。宮部さんの文章はスーッとしみこむように読みやすくて、空気のように気持ちよく私の中に入ってきます。
他には「レベル7」(新潮文庫)と、高田純次さんも推薦している「火車」(新潮文庫)とかも好きです。ほとんど読んでいますが、「蒲生邸事件」は特に好きで"読んですぐまた1ページ目から読み直した本"です。
—— 読み直す? 読んですぐにですか?
そうです。すごく感動するとその感動が終わってしまうことがイヤで、もっと続けばいいと思って1ページ目からもう一度読み返しますね。
—— 他に、読んですぐ読み返したくなった本は?
まず、真保裕一「ホワイトアウト」(新潮文庫)。巨大なダムが武装グループに占拠されるアクション・サスペンスです。導入の部分で山の事故の話が出てきて、それは雪山の怖さを表すためのものだろうと思っていたら、最後のところですごく重要な伏線になっていたんです。ストーリーがものすごく綿密に構成されているところに驚きました。いろんな本を読んでいるとひねくれてきて、「これってどこかに繋がってない?」とか変に先読みして読んでしまいますが、この作品は違いました。読み進むうちにうまく最初のエピソードをすっかり忘れさせてくれて、最後に「あーっ!ここに繋がっていた!」って思い出させる。そのエンディングがものすごく悲しくて、切ない話なのですけど……。
それから原田宗典「スメル男」(講談社)ですね。ある日、ある男の子が異臭を放つ。それは生半可な臭さでなく、東京中を嘔吐させるほど。やがて怪しい人間があらわれ、彼を人間兵器に仕立てようとする……。とにかく話のスケールが壮大でおもしろかった。あと、原田さんの作品の中で何回読んだかわからないほど好きなのが「優しくって少しばか」(集英社文庫)です。ある男性が風邪をひいて、熱があるので会社を休んで彼女と部屋でごろごろしていて、そのうち彼女に風邪がうつって、彼女もずっといっしょにごろごろ。別に何も事件は起こらないのですが、二人にとっては大きい一日を描いたお話。ドラマチックなことが起こるわけでもなく、「近所にメロンパンがすごくおいしい店があった」事を発見したとか些細な会話がいいですね。まったりとしていて、熱があるのでけだるい感じ。ラブラブな感じではない、付き合いの長い二人の落ち着いた幸せな空気が好きです。
この話もいつか女優として、舞台とかで演じてみたいですね。なんでもないところが何かのきっかけで変わっていくとか、普通の人の心境がどんどん変化していくとか、そんな物語が好きです。
—— 他にお気に入りの本はありますか?
夢中になって一気読みした本が東野圭吾「変身」(講談社文庫)です。本屋さんの平積みコーナーで「映画化決定!」という帯がかけられているのを見つけ、出演する玉木宏さん、蒼井優さんにも興味があったので手に取って読み始めました。そしたら本当に止まらなくて「トイレにいくのもイヤ」っていうぐらい。「だめだ!今日なんにもできない」っていう感じでした。怖い、つらい話ですね。自己主張の苦手なすごい心の優しい青年が強盗に頭を撃たれてしまう。でも脳移植で助かったのですが、移植されたのがなんとその強盗の脳なのです。やがてどんどん脳が殺人犯の脳に侵蝕されていってしまう。人間が変わっていってしまう。交際中の彼女の性格とかソバカスが大好きだったはずなのに、退院して会った時「ソバカスなんてない方がいい」となぜか思ってしまう自分気付く。その描写に背筋がゾーッとしました。「俺は少しおかしいんじゃないだろうか」と思いながらも、どんどん変わっていき、元の自分はどこへいっちゃったのかと葛藤する……。最後はものすごく悲しい結末になるのですが……。私は、東野さんの作品では、「変身」が一番好きですね。
—— 今、読んでいるのは?
乃南アサ「あなた」(新潮文庫)。最初ストーカーものかな?と思って読んでいたらこれは今までにない新しいホラーでしたね。乃南さんの作品の中で一番のおすすめは短編集の「冷たい誘惑」(文春文庫)。普通の主婦が歌舞伎町で家出少女に偶然拳銃を渡されて……。それをきっかけに普通の主婦の日常がいきなり非日常になる感じが面白かったですね。
—— コミックもお好きですね。
コミックもとにかく大好きで、おすすめは一色まこと「ピアノの森」(講談社)。天才ピアニストの一ノ瀬海君の森のピアノにまつわるお話です。あと弘兼憲史「黄昏流星群」(小学館)ですね。弘兼さんの作品はいろいろありますが、一番"バシッ!"ときたのがこれです。中年の恋愛の話なのですが、自分も30歳を超えて「もう恋とかできないかも」と不安になっている時期に、ものすごく希望をいただかせてもらいました。中年の主人公のベッドシーンとかもあるのですが、たるんだお腹が愛おしい(笑い)と思えてしまって。
—— 本屋さんには、よく出かけますか?
本屋さんに行くのは大好きですね。大型書店も町の小さな本屋さんも両方。時間があればぐるぐる回っています。タイトルとかでなんか惹かれるものはないかなあと思いながら……。
回遊コースとしては、店頭の平積みコーナーを横目で見ながら通りすぎてから、棚を回りますね。しかも見落としが無いかどうか気になってしまうので、何周も回ります。で、やっとそのあとに、最後にとっておいた平積みコーナーへ行きます。だいたい1〜2時間はかかりますね。また買う量も多くて、いつも紙袋を二重にしてもらいます。
—— 本を選ぶポイントは、タイトルですか?
書店の中のPOPなどはよく参考にします。特に「店長のおすすめ」とかはかなり信用します。あと店員さんがマメに更新していそうな手書きPOPですね。
—— 本を読むのはどこがいいですか?
お風呂で半身浴しながら読むのが一番好きです。寝る前にベッドで読むことも多いですが、私の場合本を読み出すと興奮して眠れなくなっちゃうので、気をつけています。あとファミリーレストランでのんびり読むのもいいですね。時間帯で言うと、日が傾いて西日が当たる夕方。ちょっとけだるい時間がいいです。
—— 「本屋大賞」はご存知ですか?
実は「博士の愛した数式」を、帯に「本屋大賞受賞」と書いてあったのが気になり買いました。賞の名前はその時初めて知ったのですが、読んでみたらこれが面白くて……。それ以来「本屋大賞」は注目しています。
—— 河合さんの近況を教えていただけますか?
私も出演した東野圭吾さんの「白夜行 完全版DVD-BOX」(TCエンタテインメント)が発売になりました。女の子のひどい母親役を演じさせていただいています。
あと、高田純次さんとご一緒させていただいている文化放送「高田純次・河合美智子の東京パラダイス」(文化放送 土曜日16:00〜17:15)ですね。
ITだ、ネットだ、デジタルだと、次々と新しい情報が大量に行き交う昨今ですが、この番組はほんとうにためになる情報がまったくない(笑)。肩が凝らなくて、元気が出て、聴きながせるのに大爆笑してしまう楽しい番組です。ぜひ聴いてください。
「ニルスのふしぎな旅」 (新書) セルマ ラーゲルレーフ(講談社)
「三姉妹探偵団」赤川 次郎(講談社文庫)
「蒲生邸事件」宮部みゆき (文春文庫)
「火車」 宮部みゆき(新潮文庫)
「ホワイトアウト」真保裕一(新潮文庫)
「優しくって少しばか」 原田 宗典(集英社文庫)
「変身」東野圭吾(講談社文庫)
「あなた」乃南アサ(新潮文庫)
「冷たい誘惑」乃南アサ(文春文庫)
「ピアノの森—The perfect world of KAI (1)」一色まこと(講談社)
「黄昏流星群(1)」弘兼憲史(小学館)
「博士の愛した数式」小川洋子(新潮文庫)