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STARの1冊

第5回北野誠さんインタビュー

写真:北野誠さん

北野誠 (きたの・まこと)

1959年大阪府生まれ。京都産業大学経済学部。「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送)、「噂の!東京マガジン」(TBS)「ラジかるッ」(日本テレビ)ほかTV番組でレギュラー、ラジオパーソナリティーとして活躍。著書も多数。「60分でわかる株のツボ」(KKベストブック)「おまえが言うな。」(主婦と生活社)他、心霊スポットのレポート中に起きた怪異な体験をまとめた新刊に「おまえら行くな」(マイクロマガジン社)がある。

—— 学生時代、子供のころの読書の思い出は何かありますか?

僕ね。ほとんど読まなかったんですよ。本読んだとしても読書感想文を書くための本とか。よく寝るためにアインシュタイン関連の本を読んだりしていました。内容が全く理解できなくて、15ページ読まないうちに眠くなりましたね。睡眠薬代わりです。

—— 今は、よくお読みになるとお聞きしましたが。

本を読み始めたのは、芸能界に入ってからですね。

きっかけとなったのが、村上龍さんです。「コインロッカー・ベイビーズ」から最新刊まで、全作品を読んでいますね。
村上龍さんが、読書の楽しさを教えてくれたと思っています。なかでも好きなのが「昭和歌謡大全集」。それと最近ではなんといっても「半島を出よ」。最新刊になるほど、どんどん面白くなってますよね。

—— 読みどころというと?

ここのところ「面白かったからこれを読んで」と人にすすめたことがあるのはこの本だけです。荒唐無稽な物語ですけど、ものすごく緻密な取材を重ねているのがよくわかります。……日本の政治のあやふやさとか、アジア外交の頼りなさとか危機管理の問題とか、これまで書きたかった日本についてのイメージを全部書ききった本だと思います。村上龍さんの集大成といえる一冊ではないでしょうか。
 本は手元に置いておかないので、細かいところまで覚えてないんですよ。半年に1回は、古本屋さんにもっていっちゃうので。とっておいて2回読むという方もいるようですど、僕は、それはしないですね。本っていつの間にか溜まるじゃないですか。大阪の実家にはたくさんありますけどね。

—— 「昭和歌謡大全集」のほうはいかがでしたか?

郊外のカラオケボックスで、主婦と学生が戦う話で、だんだんエスカレートしてついには、主婦を爆破してしまうというすごい話で。「半島を出よ」の方に、ここで登場した爆破学生がもう一度でてくるんですよ。話は、全く違いますが。

—— なぜですかね?

そりゃ、村上さんに聞いてください。ラジオの番組にきてもらったことがあって、実際お会いしましたが、いい感じでしたね。その時、聞いておけばよかったですね。

—— ところで先ほど村上さんに「読書の楽しさを教えてもらった」とおっしゃっていましたが?

村上さんの作品って、血が騒ぐんですね。読み物ですから、考えさせられたり、物語に入り込んじゃったり、沸々としたものがないと面白くないですからね。読み出したら止まらない。寝る時間が惜しくなるような楽しさですね。

—— 村上龍さんの他には?

宮部みゆきさんも面白いじゃないですか。いろいろありますが、「クロスファイア」です。超能力の女性の活躍するSFですけど。宮部さんの作品は、映像が浮かんでくるような感じがしますね。
「模倣犯」もよかったですけど。映画は物足りなかったですね。もともと、長編を2時間の映画にすること自体が無理あるんですよ。心理描写の部分がどうしてもカットされますから。
同じように「ダ・ヴィンチ・コード」も映画だとディティールがしっかり描かれていないから、違和感があります。やっぱり本の方が面白いです。

—— 今日は、おすすめ本をお持ちいただいていますが。

百田尚樹「永遠の0(ゼロ)」です。
「探偵ナイトスクープ」という番組の放送作家で、百田さんの初めての小説なんです。この番組の立ち上げのころから一緒に仕事していますが、こんな面白い本を書ける人とは知りませんでした。
人生どこで才能が開花するかわかりませんね。ロケの移動中に、できたばかりの単行本をもらって、読んでみたらすごく面白くて。新幹線の中で全部読んでしましました。なにしろプロローグからもう引き込まれて、はまりました。

—— どういう物語でしょうか?

姉と弟が、特攻隊だった婆ちゃんの最初の夫、つまりおじいちゃんのルーツをたどる話です。その人となりが知りたくなって、どんどんいろいろな人に取材に行くんです。ところが、会う人会う人がバラバラなことを言う。何が本当のことなのか? 特攻隊とは何だったのか? さらに調べていくと意外な真相が浮かび上がってくる……というミステリータッチの物語です。是非、どんでん返しを楽しんでください。読んで楽しい、主張もはっきりしている。これは絶対読んだ方がいいですよ。

—— この作品を書かれたきっかけを、百田さんにきいたことがありますか?

物語の中にも出てきますが、ある人の「特攻隊というのは、テロじゃないだろうか?」という発言を耳にしたことがきっかけだったようです。いくら戦時中とはいえ、喜んで死んでいったとは思えない。国のことを思ったり、家族のことを思ったり、何らかの深い思いがあったからなのではないか。決して戦争を美化するわけではないけれど、かといって戦争で亡くなった人々を悪く言うこともないではないか、と。そういうテーマを盛り込みたかったようです。

—— お好きなジャンルとしては?

国内のミステリーですね。村上龍さん以外だと、桐野夏生さんの「アウト」の次の「グロテスク」。名門女子高を題材にしたミステリーですけど。この本は面白くて、珍しく2回読みました。2回読んだのは、ここ3年ほどの間では「半島を出よ」とこの本の2冊だけですね。 この2冊は僕が人にすすめる本でもあるんです。本当に面白くて人に薦められる本って、そんなにありませんよね。1年に1冊あればいい方じゃないでしょうか?
恋愛ものは読めないですね。深層心理の描写がしっかりしているもの、泣けるものよりドロドロしたもの、ちょっと変わったストーリーが好きです。

—— 本屋大賞はご存じですか?

ええ、知ってますよ。本屋さんのポスターとかいろいろ出ていますから。もちろん参考にします。

—— よく行く本屋さんはありますか?

好きですからいろいろな本屋さんに行きます。とくに新幹線に乗る時の待ち時間に、新大阪の本屋さんに行きますね。店内で見て回るところといえば、平積みコーナーが基本ですが、書店のベストテンも注目します。それにしても「国家の品格」「バカの壁」とか読みましたが、タイトルって大事ですね。それだけで面白そうですもん。

—— 最近また本が出ましたね。北野誠 加藤一「おまえら行くな」(マイクロマガジン社)

僕自身、特別に霊感があるわけではないと思うんですが、これまで学生時代から最近体験した怖い話をまとめた本です。新潟のホワイトハウスとか京都の幽霊マンションとか、心霊スポットの取材にいったりした時の体験。是非、読んでみてください。

「コインロッカー・ベイビーズ」(上下) 村上龍 「コインロッカー・ベイビーズ」(上下) 村上龍

「半島を出よ」(上下)村上龍(幻冬舎) 「半島を出よ」(上下)村上龍(幻冬舎)

「昭和歌謡大全集」村上龍(集英社文庫) 「昭和歌謡大全集」村上龍(集英社文庫)

「クロスファイア」(上下)宮部みゆき(光文社文庫) 「クロスファイア」(上下)宮部みゆき(光文社文庫)

「ダ・ヴィンチ・コード」(上中下)ダン・ブラウン著、越前敏弥訳(角川書店) 「ダ・ヴィンチ・コード」(上中下)ダン・ブラウン著、越前敏弥訳(角川書店)

「永遠の0(ゼロ)」百田尚樹(太田出版)「永遠の0(ゼロ)」百田尚樹(太田出版)

「アウト」(上下)桐野 夏生(講談社文庫)「アウト」(上下)桐野 夏生(講談社文庫)

「グロテスク」桐野 夏生(文藝春秋文庫)「グロテスク」桐野 夏生(文藝春秋文庫)

「国家の品格」藤原 正彦(新潮社)「国家の品格」藤原 正彦(新潮社)

「おまえら行くな」北野誠・加藤一(マイクロマガジン社)「おまえら行くな」北野誠・加藤一(マイクロマガジン社)