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佐藤寛子 (さとう・ひろこ)
1985年生まれ。グラビアアイドルとして「週刊ポスト」「プレイボーイ」など青年誌、週刊誌の表紙を飾る一方、「武富士」等CM。「特命係長・只野仁」、TV多数出演。映画でも活躍「東京の嘘」に藤森樹里役で出演。3月17日(TOHOシネマズ横浜・おおたかの森)3月24日(六本木シネマート)に公開開始。
—— 中学生、高校生ぐらいの時にはどんな本を読んでいました?
そのころに読んでいたのはよしもとばなな「アムリタ」。京極夏彦「姑獲鳥の夏」。あとは夏目漱石とかです。教科書って部分しか載っていないので、全部読みたくなって本で買って読んでいました。「姑獲鳥の夏」は、古本屋にして陰陽師の主人公が憑物を落として、事件を解く話です。はじめミステリーには抵抗があったんですが、読み始めるともう読み終わるまで寝れないんです。
—— 本にはまりこんで寝られなくなったのですか?
物語のはじめは、妖怪が中心のおどろおどろしい感じなんですが、解決する時には人間の心の闇とか、きちんと人の真理として解決する。ファンタジーと現実が入り交じっている物語ですね。現実だけのものや、ファンタジーだけのものよりも、両方が混じっている方が好きなんです。
—— そして、よしもとばななさんですね。
よしもとばななさんの「アムリタ」は中学生の時に初めて読みましたが、著者が何をいいたいのかまったく分からなくて。それでしばらく放置しておいたんですよ。それで高校生の時にふと手にとって、もう一度読んでみたら、本の内容がすごく分かるようになっていました。高校生になって成長したからかもしれません。「本って、時がたてば読めるようになるんだ」と思いました。
—— 文章が難しいせいじゃないですね。
言葉づかいが難しくて分からなかったのではなくて、私の胸に届くまでに時間がかかったんですね。よしもとさんの本は、読む時の精神状態によって響いてくるところが違いますね。だから1冊の本を何度も読みます。そうするとまた違った捉え方ができるんです。
それ以来、よしもとばななさんの世界に引き込まれるようになりました。そのあと「TUGUMI」を読んでからは最新刊までバババッと全部読みました。最新刊の「チエちゃんと私」も発売日にすぐ買って読みました。
—— 読者の方に、よしもとばなな作品を推薦するとしたら?
読者の方に推薦するとしたら、なごやかな光がみえる暖かい感じの「ハネムーン」。「不倫と南米」も好きです。とても静かな湖面のような「みずうみ」、今舞台でやっている「哀しい予感」……、他にも短編もいろいろいいのがあるので難しいですね。
「哀しい予感」もそうですけど私の中でよしもとさんの作品は、頭の中で映像になるんです。
しかも、勝手にキャスティングされてて頭のなかでTVドラマのように動いていくので、どの場面がよかったとか言いにくいんです。たまに、匂いも感じるときがあります。よしもとさんの作品だったら、料理の話を読んでいると匂いまでわかるような気がしてきます。あとは、ファンタジーと現実が入り交じったような話で「アンドロメダハイツ 王国」。シリーズで3巻でイタリア、エジプト、南米の話だったり旅行した気分になれたり、日常の中にある虫の知らせといった神秘的なお話だったり、とても面白い一冊でした。
—— このまま行くとよしもとばななさんでけで、インタビューが終わってしまいそうなので、作家別に伺った方がいいですか?
そうですね。私も話していると次々と思い出してしまって……。作家としてはよしもとばななさんが一番すきですね。それ以外で最近やられたのは、いしいしんじさんの「プラネタリウムのふたご」。
プラネタリウムに捨てられた銀髪の双子の人生をたどる物語。やがてひとりは郵便配達になって、もう一人はマジシャンになる。お互い別の世界で生きてるんですが、やはり離れてても人間の運命って絡み合うものなのだと思いました。これは完全にファンタジーなんですが辛口。やりきれないことも、起こってしまったことも過ぎていってしまうんだ……と心に傷を持っている人が救われる作品です。読み終わったあとにやりきれない気持ちになって落ち込んでしまって、思わず絵を描いてしまいました。主人公に入り込んでしまって、電車を降りるのを忘れたり、また戻ったり、なかなか行きたい駅に着かなかった本です。
この本を読んだ後、クレヨンで二人を育てた泣き男と双子、そしてそれをめぐる色々なキャラクター達をイメージした絵を描きました。サーカスにいる人々とかも描き、とても抽象的な色彩で描かれた絵なんですよ。
—— 素敵な絵ですね。
—— 他にオススメ本はありますか?
貫井徳郎さんの「慟哭」。これはサスペンスなんですが、ある方にもらって、読まずに本棚にずっと入れていたんです。ところがこの前ちょっと読んでみたら、もう寝られません。スピード感あるストーリー展開で、おまけに最期にどんでん返しがあって「えーっ!!」という感じ。
そして重松清さんの「流星ワゴン」。重松さんの本で一番好きです。「満員電車に揺られている疲れたお父さん方におすすめ」コメントはこれのみです。これを読むと目の輝きが変わるのではないでしょうか?ぜひ読んでほしいです。癒やされるというのは、受け身ではなくて、積極的に求めていくものではないかと。特に本の内容はいいません。
—— 文芸以外でもありますか?
高山なおみさんという料理家の方が大好きで、もちろん書かれている料理本も大好きです。
「日々ごはん」生活を大切にしている方で、料理も生活に根付いています。わざわざ買ってもなくても普通にあるシンプルな材料で作れる料理なんです。生活に根の生えた料理といい感じです。その本を見ながらすごく作ってます。
「たべる しゃべる」ミュージシャンや編集者のところにいって料理を作りながらインタビューする本です。その時の体調とか、体の声を聞いて、必要以上に天然にこだわったりしない。また子供の時に食べた味を大切にするとか、彼女のなにか人間くさい生き方が好き。高山さんのように生活を大切に暮らしていくことに、憧れます。料理と対話している語り口がいいですね。私は、本によく出てくる店にいって、本と同じ料理を食べたりしているんですけど、「彼女はこういうのを食べているのか」と妙に感動します。これってただの「追っかけ」かもしれませんが(笑い)。
この本をお風呂で読んでいるときにお湯に落としたことがあって、でもそのまま乾してまた読んでいます。本をまな板の上とかにレシピのところを広げて読んで、小麦粉とかもついちゃったりしてますが、それがかえっていい味となっています。料理本として一生持っていられる本だと思います。
—— 本屋さんはよく行きますか?
時間を潰すのは本屋しかいかないですけど。バッグの中には、単行本が4冊入っていることもあって。私、本に対する金銭感覚がないんです。服を買うときは、値札を見て迷って買いますけど、本の場合値段で悩まないですね。すぐ買ってしまいます。それで、その日読むわけでもないのにバッグの中に4冊ほど本がたまっていたり。こんな調子なので、部屋の中が大変なことになっていて、本で埋まるんじゃないかと思うくらいです。
—— 馴染みの本屋さんてあります?
本屋さんは大型書店よりも、個人経営の本屋さんがいいですね。本当は「そこに本屋があるかぎり」という感じでどこでもいいのですが。とにかく本を探し出したら止まらなくなってキリがないんですよ。大型書店だと、全部読みたくなってしまって頭がおかしくなりそうになるんです。本当に1日中、本屋にいてしまいます。5階建て6階建てとか、もう時間かかってしょうがないので、本を選ぶ選択肢を少なくするために、意図的に小さな書店に行っています。あと、最近「マリリンモンローの真実」(絶版)を探して本屋さんを巡っています。何軒行ったか……。いろんな本屋さんを訪ねているのですがないですね。
—— 本屋さんの中の本棚を巡る順番はありますか?
新刊コーナーから始まって、よしもとばななさんの新刊をチェックして、林真理子さんとか女性作家さんの方へまわって、そのあと村上春樹さんとか一般作家さんの方へいきます。雑誌コーナーも演劇、インタビュー誌から、洋服、暮らしなどなど全部見て回らなければならないので大変です。
—— 最近のご活躍の作品をご紹介ください。
TVでは「特命係長・只野仁」「青春ENERGY 結婚披露宴」に出演させていただいてます。映画では、井上春生監督・脚本の作品で「東京の嘘」に藤森樹里役で出演します。3月17日から、TOHOシネマズ横浜・おおたかの森。3月24日から六本木シネマートにて公開開始です。ぜひ、ご覧ください。
—— 「本屋大賞」の名前はご存じでしたか?
本屋さんとかPOPで見たことあります。もちろん本選びの参考にさせていただいてます。
—— どうもありがとうございました。
「アムリタ」よしもとばなな(新潮社)
「姑獲鳥の夏」京極夏彦(講談社)
「TUGUMI(つぐみ)」 よしもとばなな(中央公論社)
「チエちゃんと私 」よしもとばなな(ロッキング・オン)
「ハネムーン」よしもとばなな(中央公論新社)
「不倫と南米」よしもとばなな(幻冬舎)
「哀しい予感」よしもとばなな(角川書店)
「プラネタリウムのふたご 」いしいしんじ(講談社)
「慟哭」貫井徳郎(東京創元社)
「流星ワゴン」重松清(講談社)
「日々ごはん 8」高山なおみ(アノニマスタジオ)
「たべる しゃべる」高山なおみ(情報センター出版局)