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STARの1冊

第10回渋谷飛鳥さんインタビュー

写真:渋谷飛鳥さん

渋谷飛鳥 (しぶや・あすか)

1988年生まれ。新潟県出身。「第8回全日本国民的美少女コンテスト」グランプリ。「美少女クラブ31」リーダー。現在「恋愛百景」(テレ朝系・毎月曜25時21分〜)ほかに出演中。4月7日から「病院のチカラ〜星空ホスピタル〜」(NHK・毎土曜日9時〜)に出演。4月22日まで明治座にて舞台「忠臣蔵」でも活躍中。

—— 小さい時の思い出の本というと?

小学校の学級文庫にあった「ハッピーバースデー」。貸し出したりする本ではなかったんです。学校の休み時間だけ借りて読める本で、これがいい本でした。休み時間の間に読んだだけなのですが、夢中になって一気に読んで……。ボロボロ泣けてしまいました。

—— 精神的なストレスを受けた女の子の話ですね。

母と兄から受けていたストレスなどで精神的に傷を追って、声がでなくなってしまった女の子の話で、私と同じ名前ですけど、あすかちゃんという名前なんです。精神的なストレスで、心が固まってしまい、その後田舎のおじいちゃんのところへ療養にいくのです。
そしておじいちゃんの人柄や、豊かな自然とのふれあいの中で、あすかの心も次第にとけてゆきます。あすかも気持ちも強くなっていき、友人のいじめを止めさせたりするまでに成長します。ところが、そんなあすかを襲うのが、大事にしてくれたおじいちゃんと友人の死。やっと立ち直ったあすかだったのに本当にかわいそうで……。

—— 「ハッピーバースデー」はシリーズででていますね。

「ハッピーバースデー」が感動的だったので、後のシリーズも全部読みました。著者の青木和雄さんは精神科の先生で、物語はフィクションですが診療した患者さんの実話が元になっています。だから、どの話もとてもリアルで、悲しいお話なんです。いじめ、母親の虐待、人間関係など、思春期の悩みがテーマになっているので、年頃だった私はつい夢中になって読んでしまいました。
この本は、最初児童書ということで出版されたんですが、大人が読める内容であると読者の反響が大きかったのか、たしか大人版も出ていると思います。

—— それから中高生の時に読んだ本をいろいろあげていただていますが、まず「リアルワールド」桐野夏生ですね。

4人のまったく考え方の違う女子高生が、殺人を犯してしまったミミズという男の子をかばう話なんです。最初は遊び半分でかくまったり、情報を流したりしていただけなのですが、だんだん深みにはまってしまう……。最後は、とんでもない結果になってしまう本です。ごく普通の女の子が、男の子の犯罪をきっかけに、関係がからみあっていく感じです。女の子の心の奥のグロテスクな部分や、闇の部分が描かれています。

—— 次は、奥田英朗さんの「空中ブランコ」ですね。

伊良部先生というプックラ太った精神科医のもとにいろんな人が相談にくるんです。サーカス団員の人は、空中ブランコに飛ぶのが怖くなったといって来ます。そこで先生の治療が始まるわけなんですが、これが全然治療にみえないんです。なにしろ、プックラ太った先生が空中ブランコを飛んでみたり何をしているのかがよくわからないんです。
しかし、やがて原因が見つかると、先生のやっていたことの意味が分かってくるというお話です。先生の治療は、治療というより患者自身が自分で気づくようにしてあげることなんです。他にも、「刃物が怖いヤクザ」とか「ノーコン病の野球選手」とかいろんな患者が登場します。

—— 心の傷をいやすという天童荒太さんの「包帯クラブ」

重い話かなと思っていたら、柔らかくてさらっと読めるお話。心に傷をおってしまったら、直してあげることはできないけど、心の傷に包帯を巻けば楽になるんじゃない。といって包帯クラブを結成する高校生のディノとワラたち。戦わない形で人を癒していこうとする高校生たちの物語。何を伝えたいのかはっきりと、よくわかる癒されるお話です。
柳楽優弥さんの主演で映画化されますね。天童さんといえば「永遠の仔」でハードな状況の物語を書いていますが、これは全然違った優しい感じです。

—— 「容疑者Xの献身」は妹さんにもらったとか。

はいそうです。最初「赤い指」を読もうと思っていたんですが、「『容疑者Xの献身』の方が面白いからこっちを先に読まなきゃと」いわれてもらったんですが、どうも妹は私の持っていた「赤い指」を先に読みたかっただけだったようです。どちらも面白いですよ。
母と娘が、元の父親をはずみで殺してしまってところへ、隣に住んでいた数学教師がやってきて母娘を守ろうとするミステリー。石上という数学の教師と、湯川という刑事の知恵比べというか応酬が面白かったです。
最後の章はもう東野ワールドが展開され読ませます。実は、二人は同じ大学の同級生で、頭の良さを認め合っている知人同士。普通だったらぜったい分からないようなトリックを、湯川がほんのちょっとしたきっかけを手がかりに見破るところがおもしろかったですね。

—— 「陰日向に咲く」は本屋大賞の候補にもなっていますね。

この本は、それぞれのお話が面白くて、それぞれの話がどこかでつながっているんですね。それを見つけた時は、なんだかうれしかったです。「道草」はホームレスになりたいサラリーマンの話なんです。わざわざホームレスのような服をつくって、それに着替えてベンチに寝転がって、その願いをかなえる話があるんです。そして読み進めていくと、他の話の中に出てくる引き出しの中にそのホームレスの衣装がでてきたりするんです。「ああ、あの人だったのか」というちょっとした発見のよろこびがあったりして楽しかったです。
劇団ひとりという芸人さんの本なので、笑いに走るのかと思ったら、そうでもなくてまじめで読み手を引きつけるいい作品でした。「拝啓僕のアイドル様」も面白かったです。売れないアイドルをネットの掲示板に書き込んで売れさせてしまうお話です。

—— 最近読んでいるのは、どんな本ですか?

東野さんの「赤い指」です。面白くて一気読みでした。赤い指の意味が面白いですね。引きこもりの息子が起こした殺人事件を両親がかばう話なんです。それに立ち向かう刑事と家族との対決が面白いですね。
あと、第131回芥川賞を受賞作品の青山七恵「ひとり日和」ですね。これはゆったりとした時間の物語。強烈なメッセージがあるのではなく、淡々とした日常を描いています。おばあちゃんと一緒に暮らす20歳のフリーターとのちょっとした心の交流がいいですね。

—— いろいろ本をあげていただきましたが、いつも本を買っている行きつけの本屋さんはありますか?

最寄り駅と自宅の間に、文教堂があるのでだいたい毎日のぞきます。都心の大型書店もいきますが、この書店はちょうどいいんです。レジの横におすすめ本や、ベストセラーコーナーがあって、必ずチェックします。「華麗なる一族」などドラマ化された作品や、「東京タワー」とかここで知りました。

—— 本屋さんはどこを見ますか?

まず、レジ前のベストセラーから、ファッション雑誌の方にいってちらっとみてから、文芸の方ですね。最近はおもに文庫本のところにいってます。

—— 本を読む場所はどこが多いですか?

楽屋で読むことが一番多いですが、明るいところならどこでも読みます。家のなかだと勉強机みたいなのに座って読んでます。

—— 本屋大賞は、ご存知でしたか?

「夜のピクニック」の帯に大きく書いてあって、知ってましたよ。「東京タワー」もそうですよね。たしか、文教堂に本屋大賞ということで平積みになっていたと思います。

—— どうもありがとうございました。

「ハッピーバースデー—命かがやく瞬間」青木和雄、加藤美紀(金の星社) 「ハッピーバースデー—命かがやく瞬間」青木和雄、加藤美紀(金の星社)

「リアルワールド」桐野夏生(集英社) 「リアルワールド」桐野夏生(集英社)

「空中ブランコ 」 奥田英朗(文藝春秋) 「空中ブランコ 」 奥田英朗(文藝春秋)

「包帯クラブ」 天童荒太(筑摩書房) 「包帯クラブ」 天童荒太(筑摩書房)

「容疑者Xの献身」 東野圭吾(文藝春秋) 「容疑者Xの献身」 東野圭吾(文藝春秋)

「陰日向に咲く」劇団ひとり(幻冬舎)「陰日向に咲く」劇団ひとり(幻冬舎)

「赤い指」 東野圭吾(講談社)「赤い指」 東野圭吾(講談社)

「ひとり日和」青山七恵(河出書房新社)「ひとり日和」青山七恵(河出書房新社)