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倉科カナ (くらしな・かな)
1987年生まれ。19歳。熊本県出身。ミスマガジン2006年グランプリ。ヒロイン浅井春菜役で、テレビ東京で放送されたドラマ24「エリートヤンキー三郎」(DVD版)が9月に発売。映画「GROW〜愚郎〜」9月公開。DVD「根津サンセットカフェ」
●倉科カナのブログ
—— 小さい時から本は好きでしたか?
それが、小さい時は外でばかり遊んでいるアウトドア少女で、まっくろに日焼けしているタイプで、本はほとんど読まなかったんです。
—— でも現在はかなり本を読んでいますね。
そのきっかけとなったのが森絵都さんの「カラフル」です。中学1年生の頃だと思いますが、生徒会長をやっていた友達にすすめられて読み始めたんです。面白い本に当たって本当によかったです。それからですね。読書の面白さにはまったのは。
絵本もたくさん手がけていらっしゃる方なので、ストーリーが目の前に浮かぶような描写が素敵でした。
死んだはずの主人公の魂は、天国にいこうとするんですけど、「天使の抽選にあたって」誰かの体に戻ることになってしまう。それがなんと「ダサい、モテない、背が低い」内気な冴えない奴で、なんと自殺したばかりの14歳の小林君。しかも、その家庭環境が最悪で、友達もいないし、父親はいい加減で、母親はフラメンコの先生と浮気してたり、好きな女の子は援助交際をしていたりするんです。
でも、主人公が小林君の体に入ってからは「変わったね」と、知り合いに言われるようになっていきます。実は、この「主人公の魂」というのは、小林君だったんです。グロい部分もあるはなしですけど、エンディングはきれいでさわやかなな読後感が残ります。
—— その次に読んだのが、小路幸也さんですね。
「空を見上げる古い歌を口ずさむ」これも美しいおとぎ話のような幻想的なストーリーなんです。息子が「みんなの顔がのっぺらぼうに見える」と言い出したんです。その時思い出したのが兄の言葉。「のっぺらぼうがみえたら直ぐに知らせること」
というんです。
その兄は家に帰ってきて、「自分ものっぺらぼうが見える」と話しだすんです。なぜ兄と息子がのっぺらぼうが見えるのか、その理由が分かってきます。
ちょっと不思議な気分にさせてくれる。もうひとつの世界へ読者を連れて行ってくれるファンタジーっぽい作品です。第29回メフィスト賞受賞作をとっていますね。
—— その次にあげてもらった「高く遠く歌ううた」は続編的な物語でしょうか?
この物語はパルプ町でないいうことですが、私は「空を見上げる古い歌を口ずさむ」と同じところのような気がするんです。
本の装丁の絵のように、青くて晴れ上がった空のイメージの町で、とても好きなんです。「カラフル」を読んでいる時に浮かんだ情景のように、やさしく、透き通っていて、きれいな水色のイメージです。
—— そこには、また変わった少年が登場してくる。
6年生の主人公は、片目が義眼なのでギーガンと呼ばれていて、
「ぼく、また死体を見つけてしまったんです。これで10人目なんです」
というほど、ギーガンくんの周りにはなぜが特殊な事件が起こるんです。
刑事がやって来りしますが、犯人は誰だ?という推理ものではないんです。
「人をじゃまだと思う気持ち」「悪意を抑える力」がどうもそれらの原因のようでこの辺が、ちょっと神秘的、不思議なところなんです。
—— 不思議なミステリー的な物語がお好きなようですね。
とくにこのシリーズは、神秘的でやさしく、美しい雰囲気に惹かれますね。日常の世界から、どこか遠くの世界に迷い込んでいくような、心地よさがあるんです。
かなり気に入って2回読み返しました。
—— 小路さんの作品を、もう一つあげていますね。「HEARTBEAT」。
倉科: 「HEARTBEAT」は、恋愛ものといってもいいのかもしれません。原之井君は10年後に初恋の人と待ち合わせをするんです。大金を渡す約束を果たすためにニューヨークから帰国して、彼は待っていたんですが、初恋の人は約束の場所に現れなかった。そして彼はかつての同級生と彼女の居場所を探すことになる。
ここまでは、ミステリータッチですが、最後に小路さんらしい神秘的な展開がでますね。その青年は自分がどんな存在か、気づいていなかったんですね。その同級生も彼のことを分かっていながら、青年には言わずにいっしょに彼女を捜す。ラストは驚かされるので、ぜひ読んでみてください。
—— その次がぐっと方向が変わって桂望実さんの「Lady,Go」。映画になった「県庁の星」の次に発表した作品ですね。
これはこれまでと違うリアルなストーリーなんです。
「私なんかダメ……」といつも人目を気にして、自分に自信のない派遣会社勤務の女の子南玲奈。いつも黒い服に暗い表情の彼女が、なぜかNo.1キャバクラ嬢の美香にスカウトされちゃったんです。しかし話をきくと美香は、昔はさえない女の子だったんです。
慣れない夜の世界へ入っても、自分のことを何もいいところがないと思っていた南さんだったけど、だんだん「やさしい気遣いができる」ということに気がついたり、自分が必要とされたりという経験を経て「自分自身も努力して成長できるんだ」と気づいてゆく。
—— だんだん明るい子になってゆくんですね。
キャバクラの世界だけど、共感できる作品でした。努力して南さんが成長していく姿を見ると、自分と重なるところがあって私もがんばらなきゃと思います。
—— 最後にあげてもらったのが、よしもとばななさん。
「はつ恋」ですね。これは、14歳の中学生と20代後半の絵の先生と初恋を描いた作品。本の表紙のようなさわやかな季節感が感じられるところが、良かったですね。これは、またファンタジックな世界に戻る感じなんですが。あらすじでお話しすると、やっぱり不思議な世界ということになりますね。14歳の女の子と先生が、絵を描いているときに、ふと気がつくとすぐ自分の横に、妖精がいるんです。
—— ふたりだけに見えたんですね。
そうなんですね。14歳と言えば大人びている面もあるけど、子供のところもあり、気持ちは純粋ですよね。妖精がきっかけとなって、少しずつ歩み寄っていくところが素敵でした。
やはり、気持ちが温かくなる話が大好きです。本を読んでいるときに、その内容に気分が影響されやすいんです。
深刻な話だと、本を読み終わってからも考えこんじゃって、普段もダークな暗い感じになるんですよ。だから本選びは、かなり慎重な方です。
—— というと、本屋さんに通いつめたりするんですか?
実は、図書館が好きなんです。自転車で近所の図書館によく本を借りに行きました。中学生の時なんか、おこずかいとかあまり使えないじゃないですか。だから、図書館でたくさん借りてきて、面白そうな本を探すんです。
妹のカードも借りてたくさん読んでました。面白くなさそうだったら、読まなくてもいいし、気軽だし。逆に面白かったらその本を買ってしまいます。
—— 図書館で読んだ本を買うんですか?
だって読んで面白かった本は買って手元に置いておきたいじゃないですか。そして何回も読みます。
今度引っ越しするので、「本屋さんが近いところ」というのも重要なポイントですね。
—— 本屋さんでは、どうやって本を選びますか?
近所に小さい本屋さんがあってよく行ってます。まず、好きな作家さんの棚にいって新刊が出てないかチェックしますね。
それと時々他の作家さんのでも、気になったタイトルを見つけると、読んでみようと買ったりします。同じ作家さんだけでなく、いろいろなものを読んだ方がいいと思いますので。
—— 本屋さんのPOPとかは参考にしますか?
手書きのPOPは読むのが楽しくてつい読みたくなりますね。ストーリーも気になりますが、この店員さんはこういう読み方をしたのだと、とても興味をかき立てられます。
—— 本屋さんが選んだ「本屋大賞」をご存じでしょうか?
「夜は短し歩けよ乙女」は読みました。候補に上がっていましたね。
—— 本を読む定位置はありますか?
お風呂で結構読みます。あとは寝る前のベッドの中です。でも、クライマックスにさしかかるとつい、朝まで寝ないで読んじゃいますね。
—— 今、出演なさっているTV、映画など近況をお聞かせください。
テレビ東京で放送されたドラマ24「エリートヤンキー三郎」のDVD版が9月に発売になります。あと映画「GROW〜愚郎〜」も9月公開ですね。あと、ラーメンズの片桐仁さんと私の二人芝居「根津サンセットカフェ」DVDも100話分出ていますので、ぜひご覧ください。
—— 本日はどうもありがとうございました。
「カラフル」森絵都(理論社)
「空を見上げる古い歌を口ずさむ」小路幸也(講談社)
「高く遠く歌ううた」小路幸也(講談社)
「HEARTBEAT」小路幸也(東京創元社)
「Lady,Go」桂望実(幻冬舎)
「はつ恋」よしもとばなな(文藝春秋)
「夜は短し歩けよ乙女」森見登美彦(角川書店)