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STARの1冊

第22回井上和香さんインタビュー

写真:井上和香さん

井上和香 (いのうえ わか/タレント)

1980年東京出身。ドラマ、バラエティー、ラジオなどタレント、女優として多方面で活躍。現在レギュラーとしてNHKドラマ 土曜時代劇「オトコマエ!」、TBS 「格闘王」、MBSラジオ「イマドキッ」で活躍。初主演映画「コラソン de メロン」(田中誠監督)が5月31日から全国公開される。
●井上和香公式ブログ http://ameblo.jp/inoue-waka/
●映画「コラソン de メロン」 http://www.cinemusica.jp/corazondemelon/

—— 井上さんのオススメの本についてお聞かせください。

まず、紹介したいのが『十二番目の天使』ですね。不治の病に冒されている少年ががんばっている姿に、人生に絶望していた男が励まされ、立ち直って行くというお話しなんですが、最期のティモシーのシーンには号泣してしまいました。

—— 人生に絶望していたというのは?

主人公のジョン・ハーディングは40歳を前に仕事では大成功し、故郷に帰ってきました。でも不幸にも2週間後に妻子を交通事故で亡くしてしまうんです。

絶望のどん底にあったジョンに、友人が少年野球の監督をやるようにいってくれたんです。そこで出会ったのがティモシーという少年。

ジョンは最初やる気がなかったんですが、ティモシーに出会って驚きます。ジョンは最初、ティモシーの病気のことは知らなかったんです。ティモシーはチームでは補欠で、いつもベンチから応援する役。それなのにいつもチームメイトに言う言葉が「絶対あきらめるな」なんです。

—— まるで病気の自分に言っているようですね。

少年は自分の命が残り少ないことを知っているのにいつも一生懸命練習していたんです。

ジョンは「なぜ、君はゲームに出れないのに練習するのか」というような事を、最初聞いてしまったりするんですけど。

やがてジョンもティモシーが病気であることがわかってくるんです。ティモシーは、自分の命がなくなるかもしれない時に、いつまで生きられるかわからないからこそ、今やりたいことを精一杯やっている。それで野球の練習をしている、というんです。

家族を失って落ち込んでいたジョンは「なぜ、君はこんなに強いんだ」とショックをうけて……。

—— 40歳近くの大人が、逆に少年に教えられたかたちですね。

そうですね。それでジョンもだんだんやる気をでてきて、監督として一生懸命にチームを強くしようとがんばる。その熱意がチームメイトにも伝わったのか、チーム自体もどんどん良くなっていく……。

—— どんな方にすすめたいですか?

ネガティブに考えがちな方に読んでほしいですね。私はこの作品を読んで、「私の悩なんか小さなことだ」と、気持ちが軽くなりました。だって私には、まだ命がありますからね。ティモシーの方が大変なんだと……。とにかく、前向きにがんばれる、そんな意欲がわく本です。

—— そしてもう一冊は「エブリリトルシング」

6編の短編からなっているんですが、なんといっても第1話がインパクトありました。
「クワガタと少年」という、話題になったお話しですが。

ペットショップにいつもクワガタ虫を見に来ていた少年が、店員さんに聞きます。1本足のない5本足のクワガタ虫がいたんです。「足が一本なくてもいい」と不思議なことに少年はそのクワガタ虫を欲しがったんです。そして店員さんに尋ねます。「1本足がないと、価値がさがるのか」と。

最初は店員さんは最初知らなかったんです、その少年が義足だってことを。少年は、足がなくてもがんばっているのは自分と同じ。だからとクワガタ虫を飼いたいというんです。やがてその少年の障害と、その思いが分かった店員さんが、最後にとった対応がよかったですね。これが大人の考え方だなと思いました。

—— その他の短編はどうでしたか?

読み終わると、あっ、こういう物語だったんだと驚きますね。一つ一つの話が、オムニバスのようでありながら、どこかでつながっている。その人間関係のつながりがおもしろいですね。組み立てがすごいですね。

ここでは具体的に結末をいえないので、とにかく読んでみてください。
それぞれの話は、それぞれ主人公がいます。各々に悩みやトラウマをもっていて、それを打破しようとがんばる。そしてなんとか新しい道を切り開いてゆくんです。

各話の主人公に共感できるところがたくさんあるわけですが、どの話も最後はあるところにつながってゆくんです。

そんな物語の構成とそれぞれの悩みを乗り越えてゆく主人公の話で、とってもポジティブになれます。

—— その他、最近のお気に入りの本をあげていただくと。

本屋大賞の「博士の愛した数式」「東京タワー」とかも読みましたよ。「東京タワー」の中に実は地元のシーンが出てくるんですよ。それを教えてもらった時にびっくりしましたね。あと「嫌われ松子の一生」とかも好きなんです。今読んでいるのは、実はファンの方からいただいたんですけど、「鏡の法則」ですね。

—— 本の選び方は、どうやっていますか?

やはり、知り合いにお勧め本を聞いたりすることが多いですね。あと本屋さんでPOPや帯を参考にしたり、ランキングはしっかりチェックします。

—— 最近取り組んでいるお仕事は?

私の初主演映画「コラソン de メロン」が、5月31日から順次全国公開になるんです。監督が「うた魂」の田中誠さんで、共演は西川貴教さんです。私がOLの泉じゅん役、西川さんが結核にかかっていて仕事をしていないヒモ役ヒロミ。しかも泉は最近会社をリストラされて無職に。なんだか、設定だけ聞くと悲惨なお話しのようですが、そうではなくで、堅苦しくなく楽しめるラブコメディーなんです。

とってもオバカな二人ですけど、かわいくて、面白くて、シュールな映画です。泉は、自分もリストラされた身なのに、ヒモの彼のために一生懸命にがんばる子なんです。彼のために一途な思いを貫いている子なんです。

楽しいラブコメなんですが、二人の関係は実はすごくいいんです。泉はこうして彼に尽くすんですが、それが何も見返りを求めていないんです。何かを相手に求めるのではなく、どれだけ相手のためになれるか、それだけを考えている。一方の彼の方も、実は泉のために見返りを求めずにがんばる。お互いが捧げ合っている。ちょっとオバカなんですけど(笑い)。そんな無償の愛のような関係を見ていただけたらと思います。

西川さんがいろいろと撮影の現場を盛り上げてくれて、雰囲気を和やかにしてくれました。私は、ヒモに尽くすタイプじゃないですけど、泉と年齢が近いので役には入りやすかったです。ぜひ、劇場でご覧になってください。

「十二番目の天使」オグ マンディーノ(求龍堂) 「十二番目の天使」オグ マンディーノ(求龍堂)

「エブリ リトル シング」大村あつし(ゴマブックス)「エブリ リトル シング」大村あつし(ゴマブックス)

「博士の愛した数式」小川洋子(新潮文庫)「博士の愛した数式」小川洋子(新潮文庫)

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」リリー・フランキー(扶桑社)「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」リリー・フランキー(扶桑社)

「嫌われ松子の一生」山田宗樹(幻冬舎文庫)「嫌われ松子の一生」山田宗樹(幻冬舎文庫)

「鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール」野口嘉則(総合法令出版)「鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール」野口嘉則(総合法令出版)