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2011年本屋大賞特別企画「中2男子に読ませたい!中2賞」

今年も本投票の他、何か面白いことをやろう!と我々実行委員は考えました。
ない知恵を絞り考えたのが、この「中2賞」です。
さて、中2賞とはなにか?
それはズバリ、中学2年生男子に読ませたい本を決める賞です。

多感な時期でありながら本から遠ざかっている中学2年生男子に薦めたい本は何か?
まず書店員に投票を募り、本物の中2男子に読ませたい本はもちろんのこと、
自分が中2の時に読みたかった本、中2病にかかったオレが大好きな本、など
発行日やジャンルを問わず、これぞという本をコメント付きで投票しました。

さらに朝日中学生新聞の特派員である現役中学2年男子のみなさんにご協力をいただき、
投票で集まった書籍推薦コメントをすべて読んで、
現役中学2年男子が「読みたい!」と思った本を「中2賞」として決定しました。

以上の結果、
山田玲司さん『非属の才能』(光文社新書)
北尾トロさん『キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるかデラックス』(朝日文庫)
が「中2賞」に選ばれました。

選考に協力くださった朝日中学生ウィークリー 特派員のみなさん

小山誠太朗くん、矢野真太郎くん、東弘一郎くん

朝日中学生新聞 特派員のみなさん

中2賞受賞作と中2男子の感想文

『非属の才能』山田玲司 (著)光文社新書

『非属の才能』山田玲司 (著)光文社新書 表紙

書店員の推薦コメント

周りにいる大人たちの言葉を『嘘臭い』としか感じられない君たちへ。正しいことが何なのか、見失っている君たちへ。この本を是非読んでみて欲しい。君の心に響く言葉が、きっとあるはずだから。正しいように見える意見が、本当に正しいとは限らない。

神奈川県書店員 長江貴士

小山誠太朗くんの感想

僕は中学校に入ってから、自分はどんな人になればいいのかわからなくなることがあります。なぜかというと、学校ではみんなと同じ行動、つまり「みんなと一緒」のことをしなければいけません。だから、自分は何なのか分からなくなることがあるからです。みんなと同じ行動をしなければ叱られたり、成績を下げられたりします。

そんな僕は、この本の紹介文を見た時、まさに自分が思っていたことと同じことが書いてあったので、今悩んでいることを解決してくれるかもしれないと思い、この本を選びました。

読んでいると、何度も共感できるところがあり、どんどん先が読みたくなりました。そして、今までに出てきた才能のある人間の多くは、みんなとは違う自分の道を歩んでいることを知りました。

読み終えると、自分が違和感を持っていたことは正しかったということを知り、自分も「非属の才能」を見つけられる気がしました。そして、いい高校やいい大学に入らなくても、自分の好きなことができればそれでいいことも学びました。これからは、自分だけしか持っていない何かを探していこうと思いました。そして、自分の「非属の才能」を努力して伸ばしていきたいと思います。

もしこの本が日本中で読まれたら、日本のさまざまな分野で今までとは違う「革命」が起こると思います。みんなと一緒!が主流だった日本は、一人ひとり違うんだ!という日本へと大きく変わってくれると思います。

『キミは他人に鼻毛が出てますよといえるかデラックス』 北尾トロ(著)朝日文庫

『キミは他人に鼻毛が出てますよといえるかデラックス』 北尾トロ(著)朝日文庫  表紙

書店員の推薦コメント

……うん。言えないよね。お姉さんも言えないよ。でもさ、そこでひとつ勇気を出して言ってみようじゃないかっていうアホな企画がメガ盛りの一冊。きっと気に 入ると思うんだけど。

成田本店とわだ店 櫻井美怜

小山誠太朗くんの感想

「なんだこれ!」とタイトルを読んだ瞬間思いました。それと同時に、すごく読んでみたい!という気持ちでいっぱいになりました。きっと誰もがそう思うと思います。

僕だったら、多分言えません。なぜなら、言った後にその場が一瞬にして気まずい雰囲気になるからです。鼻毛の話だけではなく、電車の中でうるさい兄ちゃんに注意するとか、人前で自作の詩を読むなど、少し恥ずかしい話がたくさんつまっていました。

ちょっと勇気を出せば自分の心がすっきりするのになかなか言えない…だから気持ちが晴れない…。読んでいると、自分も一緒に体験しているかのように思えてきます。先を読むにつれて自分まで恥ずかしくなったり、笑いが込みあげてきたり、こんなに色々な感情にさせられたのはこの本が初めてです。

僕の周りの常識という殻を打破したら、どんな新しい世界が見えてくるんだろうと思いました。

東 弘一郎くんの感想

ちょっと読んでみるだけで、作者が痛々しくて逃げ出したくなる。もうやめてぇーと思いながらも、結果を知らずには眠れない。

誰だって近くにいる人や、目の前の人がどんな人かなと考えたり、これって駄目じゃない?って思う事はあると思う。当然それで終わる。それなのに、作者はそれを突っ込んでしまうのだ。いくら「僕は常識的ですよ。」といっても絶対に信じない。むしろ恐い。

しかし、やっている事は全て正義なのだ。小さい頃、嘘はダメ、誰とでも仲良くねって教わったのに、何故大人がしてはいけないのか。それが大人になると言う事なら、僕はいつまでも子供でいたい!と叫ぶ勇気は全く無いが、地道に正義を貫く大人がいるのは、心から安心できる。正義の守り神が大活躍の武勇伝だ。

中学2年男子がこころ惹かれた本:個人賞

東 弘一郎くんが選んだ本と感想

『時刻表2万キロ』宮脇 俊三(著)角川文庫 表紙

『時刻表2万キロ』宮脇 俊三(著)角川文庫

書店員の推薦コメント

中二諸君、鉄分は足りているか。ここでいう鉄分とは、いうまでもない鉄道についての興味・関心・態度のことである。鉄道ファンの作家といえば内田百間、阿川弘之、宮脇俊三だが、今回は宮脇俊三をオススメしたい。君たちは宮脇俊三を知っているか。中央公論という雑誌の編集長で、クラシックと汽車ポッポが趣味、どくとるマンボウ北杜夫を掘り起こした辣腕編集者である。趣味の汽車ポッポというのは、時間がないときは時刻表をじっくりと読むことだが、何とか時間をやりくりして鉄道で移動を繰り返すことでもある。先に鉄道ファンの作家を三人挙げたが、共通するのは鉄道に乗って「どこか」に行くのではなく、「鉄道に乗ること」自体が目的だと主張していることだ。鉄道の役割は「A地点からB地点へ人や物資を移動させること」である。それに乗るのが目的ならば、必然的に「A地点からB地点へ移動する」ことになる。ところが、全員B地点には用がない。仕方がないからA地点へ戻る。もしくは、新たなB地点へ向かう。汽車または電車に揺られながら移動を続けて景色を眺め、三人ともそれでご満悦なのである。

 月刊誌の編集長といえば地位あるヒトで、暇があるとはとてもいえない。なのに、趣味というのは恐ろしいもので、この編集長は何とかやりくりして鉄道のヒトになろうとするのである。その結果、日本国内の鉄道のかなりの部分を乗り降りしてしまった。ある日、では具体的にどのくらい乗ったのか調べてみたら、国鉄の73%に及ぶことがわかった。だったら国鉄の路線全部を乗りつぶしちゃえ、という気になったのが45歳のとき。JRになる前の国鉄だから、今は存在しない路線がたんまりあった。当時もすでに赤字線で、一日数本しか運行がない行き止まりの盲腸線なんてざらだ。このことは、その線に乗るために丸一日費やす確率が非常に高いことを意味する。なにを酔狂な、とは凡人の感想だろう。宮脇はとうとう国鉄のすべての路線を乗りつぶす。その経緯を記したのが本書である。足尾線(現わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線)に乗って国鉄路線完乗を果たした宮脇はこう記す。「これで長年の念願を達成したわけだが、九州の全線を乗り終えたときの爽快さも、北海道完乗のような虚無感もなかった。しかし、間もなく来るべきものが来た。相変わらず時刻表は開いていたが、どうにも張り合いがないのである。眺めるだけで、かつてのあの読み耽る力が出てこないのである」まるで、娘を嫁に出した男のようだ、と続ける。何か大切なものを失ってしまったような気がする、というのだ。とかいいながら、その後開通した気仙沼線に嬉々として乗りに出かける。鉄道乗りの喜びにあふれた文章のあとに、新線開通の予定はどうなっているのかについて触れ、こんな風に書いている。「乗りたい! と思う。それに、もう私は若くない。開通させる気がほんとうにあるのなら、早くしてくれないと困るのである」そして、カレル・チャペックの著書からの引用で締めくくる。エッセイ集の終わり方として、私が最も気に入っているものの一つである。「本物、いちばん肝心のものは、わたしたちの未来にある。新しい年を迎えるごとに高さとうつくしさが増していく。ありがたいことに、わたしたちはまた一年歳をとる」(園芸家十二ヶ月)宮脇は次期社長を嘱望されるほどの切れ者だったが、本書を出版するにあたって中央公論社を退社し、「最長片道切符の旅」「時刻表昭和史」「シベリア鉄道9400キロ」と汽車ポッポ本を次々に書き上げる。果ては、「失われた鉄道を求めて」のような廃線もの、「室町戦国史紀行」のような歴史ものにまで手を出す。「何か大切なものを失ってしまったような気がする」といっていたのは、どこのどいつだ。亡くなるときに入院した病院には、物資輸送のためのモノレールがあり、宮脇はそれを眺めて無聊を慰めたという。戒名は「鉄道院周遊俊妙居士」。鉄分100%である。ぜひご一読願いたい。

忍書房 大井達夫

東 弘一郎くんの感想

「鉄道ファン」が「鉄ヲタ」と陰気なイメージでとらえられる事が多い今、この本は僕に自信を与えてくれた!この本は、ぼくにとって重厚なイメージの国鉄時代の話であり、鉄道ファンのあるべき姿を教えてもらった。

目次を見て、自分で一人旅をした路線の話を読むことにした。鶴見線、九州の各線のページをめくると、路線は全く変わらないのに、自分が見てきた景色と少しずつ変わっていることがわかる。でも、そのワクワク感は、改札を通り、電車を待ち、車窓からの景色が見えてくる。乗り換えがうまくいくかの緊張感。ドアがスーッとしまる。まさに3Dだ。

大好きな電車の旅をしながら仕事ができるなんて、こんな人生があるのかと羨ましくなった。この本は、きっと何度も開くのだろうなと思う。僕が大切にしたい一冊だ。

『六枚のとんかつ』蘇部 健一(著)講談社文庫 表紙

『六枚のとんかつ』蘇部 健一(著)講談社文庫

書店員の推薦コメント

とにかく笑えるお話ばかりです。本のきらいな人もクイズみたいな話なので、飽きないと思います。六枚のとんかつの意味を読んで知って下さい。

大杉書店八千代緑が丘店 鈴木康之

東 弘一郎くんの感想

本を手に取り、表紙を見ると、チェスの盤の上で1人のおじさんの首がこちらを見ている。ホラー系の話も混ざっているのか。その上、探偵小説はあまり好きではないので、失敗したかとため息。仕方なく読んだ1つ目の話「音の気がかり」は大爆笑だった。

この話は、記録したとあるテープに「ガッツ石松」という言葉が4回記録されていたため、「なぜガッツ石松と4回繰り返して言うのか」を推理する話だった。真面目に推理した結果、あるアナウンスとの聴き間違いだった、という話。・・・、悲しい。

このような「オチ」のある探偵小説は珍しく、ギャグを使わずに笑いをとるテクニックにも感動。次の話へどうしても進みたくなる。そして読み終わると、誰かと思いっきりこの話がしたくて、勧めてしまう、そんな一冊だ。

小山誠太朗くんが選んだ本と感想

『ざまぁみろ』立嶋 篤史(著) 幻冬舎アウトロー文 表紙

『ざまぁみろ』立嶋 篤史(著) 幻冬舎アウトロー文庫

書店員の推薦コメント

どうせ中二男子なんて誰かの薦めたものなんて読まないよ。膨らんだ自意識と偏った知識と決定的に持ちえない行動力の無さで苦しむといいよ。すべてを拒絶しまくって周りが見えなくなって溺れかけた中でつかんだものがおめえの一生を決めるよ。だから本屋の言うことなんか気にするな。本なんか人に選ばせるな。人に聞くな。ましてネットで聞くな。自分で選べ。

伊野尾書店 伊野尾宏

小山誠太朗くんの感想

この本は紹介文で惹かれました。挑戦的に書かれているように感じたので、だったら読んでやる!と思い選びました。

本を読み始めたら、想像していたものとは違いびっくりしました。まさかキックボクシングの話とは思わなかったからです。減量やタイでの生活、厳しい練習や過酷ないじめなど、自分が今まで興味を持ったことのない話でした。

今まで僕は、本屋さんに掲示してある本の紹介文を気に留めたことがありませんでした。今回、本屋大賞中二賞の選考委員になって200近い本の紹介文を読み、改めて紹介文の重要性を感じました。この挑戦的な紹介文がなかったら、きっと僕はこの本を手に取っていなかったからです。

僕の知らない世界がこの本でまた一つ広がった気がします。

矢野真太郎くんが選んだ本と感想

『空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集―』寮 美千子(著)新潮社 表紙

『空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集―』寮 美千子(著)新潮社

奈良少年刑務所の受刑者が更生プログラムの一環として詩を制作している。その詩を指導者の寮美千子さんがまとめた内容。ある意味子どもっぽいというか、稚拙な文面なのだけど、それが逆にとてもストレート(本音)な言葉の数々として胸に突き刺さる。表紙に使われている煉瓦造りの建物は少年刑務所の建物なのだそう。タイトルも少年受刑者の一行詩からとったもの。この感性を他のことに活かして貰いたかったなぁ。中2で少年刑務所に入っている人もいることを知って欲しいので推薦します。(個人的オススメ)

加賀谷書店茨島店 伊藤やよい

『僕は12歳』岡 真史(著)ちくま文庫 表紙

『僕は12歳』岡 真史(著)ちくま文庫

あまりに繊細過ぎるが故に、死を選んだ少年の美しい詩集。何も考えず無為に過していた自分と比べると、その感性の差に恥ずかしさを覚えます。ただ、ほんとうは、作者自身が苦しくても「生き続ける事」が一番美しい事であったのだが・・・残念です。命の儚さと美しさ、そして重みまでを存分に感じさせてくれる1冊です。

ブックポート203栗平店 淺井康雄

『竜馬がゆく』司馬 遼太郎(著)文春文庫 表紙

『竜馬がゆく』司馬 遼太郎(著)文春文庫

「本当にかっこいい男ってどんなのか。きっと分かると思うから。」

山ノ上純 ダイハン書房本店

「歴史文学の最高峰。一番面白い歴史小説を読んで、日本の歴史に興味を持ってほしい。」

埼玉県男性書店員

矢野真太郎くんの感想

僕が選んだ本は「空が青いから白をえらんだのです」、「僕は12歳」、「竜馬が ゆく」です。

「空が青いから白をえらんだのです」は奈良少年刑務所の受刑者たちが書いた詩をまとめたものです。その詩の中にはあふれる感情をうまく表現できずに悩んでいるのがよく伝わってきます。少年刑務所には何らかの形で社会の輪から外されてしまった少年たちがやってきます。それは決して少年だけの責任ではありません。周りの大人にも責任があります。社会にも責任があります。たまたま不運にも罪を背負うようなことをしてしまった少年には、少し周りに敏感すぎるところがあるのかなとこの本を読んで感じました。繊細なガラスのハートは、周りからの攻撃で傷だらけになってしまいます。そういう心の持ち主が、罪を背負ってしまうのです。しかしその敏感な心は、自分が嫌なことにははっきりNOと感じる。平均的な人間にはない素晴らしい能力でもあります。そしてそんな出る杭な少年たちをその個性を残したまま周りと付き合う力を持たせ、自分のやりたいことをやってもらうために少年院や少年刑務所はあるべきなのです。このまま少年たちをほっておくのはもったいないなと思わせる作品でした。

次の「僕は12歳」も詩集ですが、こちらは12歳で投身してしまった少年が書いたものです。この少年も、先ほど書いたガラスのハートの持ち主だったと思います。小学校では生徒会代表、議長を務めた彼ですがたくさんの美しい詩を残してこの世から姿を消しました。しかし、僕は彼はこの世から姿を消して見えなくなっただけで、決して魂はなくなってはいないと思います。きっと彼の想像力と好奇心は、その小さな少年の体には収まりきれなかったのでしょう。この本を読んで、今頃彼はどこを旅しているのかな、そんなふうに感じました。

そして「竜馬がゆく」ですが、皆さんもご存じ坂本竜馬、幕末の立役者がこの本の主役です。『龍馬伝』の影響もあり竜馬人気が高まっていますが、竜馬もさることながら司馬遼太郎の表現力も圧巻です。風雲の中で自分のやり方を貫き、時に挫折し、時に大切な仲間を失い、しかし自分の志を信じきった竜馬の生きざまには感心するばかりです。

最後に僕はこの三冊を読んで、改めて自分の生き方を考えました。自分の考えを貫くのはとても難しいことだと思いますが、竜馬のような生き方をしていきたいです。