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大賞作家リリー・フランキーさんが副賞10万円で購入した本 2006年本屋大賞

第3回「本屋大賞」受賞者リリー・フランキーが副賞の10万円の図書カードを携えて、東京タワーに最も近い書店・書原霞ヶ関店で一気買いに挑戦! 多忙のため、持ち時間45分の一本勝負で、買った本がこれだ!

2006年本屋大賞 大賞作家 リリー・フランキーさん

購入書籍リスト

『環境思想 歴史と体系』海上知明/NTT出版

『喜劇新思想大系 完全版 下巻』山上たつひこ/フリースタイル

『魯山人の料理王国』北大路魯山人/文化出版局

『ひと目でコツがわかるお料理基本帳』爲後喜光/家の光協会

『日本美術の歴史』辻惟雄/東京大学出版会

『東京・築地 五つ星の味、極上の逸品』小関敦之/東京書籍

『魅惑の世界遺産100選 人類の宝を訪ねてみたい』平山和充写真・文/秀和システム

『世界の路地裏100』ピエ・ブックス

『オセロの勝ち方(改訂版)』長谷川五郎/河出書房新社

『へんないきもの』早川いくを/バジリコ

『谷川俊太郎が聞く、武満徹の素顔』小沢征爾・谷川俊太郎/小学館

『フレディ・マーキュリー・ファイル』ジェット編・制作/シンコーミュージック・エンタテイメント

『あゝ、荒野』寺山修司・森山大道/PARCO出版

『天才 青山二郎の眼力』白洲信哉編/新潮社 とんぼの本

『リリー、モーツァルトを弾いて下さい』多胡吉郎/河出書房新社

『銀座の達人たち』早瀬圭一/新潮社

『雑誌をデザインする人と現場とセンスの秘密』藤本やすし/ピエ・ブックス

『もっと知りたい狩野派 探幽と江戸狩野派』安村敏信/東京美術

『別冊太陽 春画 江戸の絵師四十八人』平凡社

『バカでもわかる思想入門』福田和也/新潮社

『温泉100選 2007』実業之日本社

『旬紀行 「とびきり」を味わうためだけの旅』寄本好則/発行ディノス/発売扶桑社

『犬の科学—ほんとうの性格・行動・歴史を知る』スティーブン・ブディアンスキー/渡植貞一郎訳/築地書館

『讃美歌21 A6判カジュアル版』日本基督教団讃美歌委員会編/日本基督教団出版局

『JALデザインコレクション』出版社

『自遊人 2007年1月号 日本の宿グランプリ』カラット

本屋大賞のご褒美で買った本〜リリー・フランキーさん

──お疲れさまでした。今日は時間がなかったせいかもしれませんが、決めるのが速いですね。ほとんどミズテンのような感じで。

リリー そうですね。漠然と本屋さんに行くときは延々いますけど、最近は何かを買いに行くって感じなんで、けっこう速いかもしれません。

──目的買いが多いわけですね。今日は買おうと決めていた本はあったんですか。

リリー 決めていたものはあったんですけど、見つからなかったんですよ。大竹伸朗さんや桑原茂一さんに勧められた本を探したんですけど。

──美術関係ですか。

リリー 大竹さんに勧められたのはビートルズ本。いっぱい出ているビートルズ本の中でも最高のやつがあったよ、と。19歳のときからエンジニアのアシスタントをしていた人が書いた本で最近出たらしいんですけど。

──たぶん白夜書房の『ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実』ですね。

リリー 読んでみたかったんですけどね。桑原茂一さんには吉田カバンの息子さんが父親と自分の話と放浪してたときのことを書いた本が面白いって勧められたんですけど、それも見つからなかった。あと料理の本で『料理の四面体』という本をずっと探してるんです。いいって聞いていたので。

──玉村豊男かな。

リリー それも見当たらなかった(笑)。あそこの本屋さん、変わってますよね。それぞれのコーナーは均等にあるんだけど、すべてが偏っている(笑)。おかげで、欲しい本はなかったけど、微妙な本がいっぱい見つかりました。普通、あれくらいの規模だと、あれっていう本は、なかなか見つからないですよね。また置き方が凝ってるじゃないですか。一冊平積みの本をとると、違うテイストのやつがその下から出てきたり(笑)。アマゾンが似たようなのを勧めてくる感じというか。

──『へんないきもの』がそうでしたね。平積みの下に続編が隠れていた。

リリー 続きもあるよ、みたいな感じで交互に積んである(笑)。下から続編が出てきたから、まとめて買っておこうかな、と思ったんですけど、続編の背表紙に「リンダ困っちゃう」みたいなことが書いてあって、ちょっと調子に乗りすぎてるみたいだから、やめようと。ギャグはいらない(笑)。

──いちばん初めに手に取った本が『あゝ、荒野』でしたが。

リリー 僕、どこの本屋さんに行っても、最初に写真集と美術書のコーナーを見るんですよ。学生のころの癖が抜けてないんじゃないかな。美術書とか写真集って高いじゃないですか。そのへんを先に買わないとほかの本まで金が回らないみたいな(笑)。

──そういえば、美術書のコーナーで「このへんの本を買うと、すぐ10万円いっちゃいますね」と言いながら、どんどん小脇に挟んでいました。

リリー そうですね。でも、あのお店って、美術の本にしても図版がきわめて少ない本が多いんですよ。美術の本なのに言葉で押し倒してくるような。言葉責めですよ(笑)。漫画を買おうにも、ほとんどなかった。ビジネス街の本屋さんだからなんでしょうけど。

──買った漫画は、山上たつひこの『喜劇新思想大系』一冊でしたね。

リリー あれは貸し本屋で読んでいた本ですけど、新しい造本で出ていたので、買いなおしてみたいなと。

──あの造本で出ているのは知っていたんですか。

リリー いえ、知りませんでした。でも、あの時代の漫画って、CDもそうですけど、造本変えたり、紙ジャケにしたりして復刻して、持ってる人間に何回買わせるんだ、みたいな(笑)。まんまと買わされました。復刻した本って、どんどん装丁がよくなってるから、欲しくなりますよね。

──文芸書のコーナーもほとんどスルーでしたね。手に取った本も中島義道『狂人三歩手前』だけでした。

リリー 新刊が並んでるな、という感じで見てましたけど。新刊を手に取り出すと、やっぱりあそこがいちばん時間がかかりそうだったんで。

──あえて避けた?

リリー 古い本があんまり置いてなかったですから。意識的じゃないんですけど、最近は小説のたぐいは、ちょっと古いものをずっと読んでるんです。そんな古典中の古典じゃないんですけど、近代以降の。

──明治時代ですか。

リリー 明治くらいからですね。そういう人たちの全集があったら、いい機会だから買おうと思っていたんですけど。

──それがあれば10万円は突破していましたね。

リリー そうですねえ。だから文芸ものは古本屋で買うことが最近は多いかな。神保町が多いですね。神保町に行ったら、ほんとに時間がなくなります。本屋行ったり、野球カードを買ったり、エロビデオを買ったり(笑)。今日は文芸ものはあんまり買ってないですけど、普段、読んでる本も小説が占めてる割合は少ないかな。たぶん僕は本から100パーセントのなにかを得たいんじゃなく、ヒントになるなにかを得たいんです。

──それは仕事のヒントだったり……。

リリー 生活のヒントだったり。だから一つの物語をまるまんまっていうよりも、その物語ができる前段階のものを求める傾向があるのかもしれない。資料うんぬんってことじゃなくて、前からそうだったんです。といっても小説ばっかり読んでるときは小説ばっかり読んでるんですけど。

──小説を読んでも、その中で完結してしまうわけではないと。

リリー でも、読むとカブれますね、小説は。冒険小説読めば、町歩いていても、冒険的な目線になるとか(笑)。やっぱり普通に歩いててぷらっと本屋さんに入るときは、文芸書が多くなりますからね、文庫とか小さい本ばっかりとか。

──今日は文庫・新書のコーナーは「小さい本見ないようにしないと」と近寄らないようにしてましたが。

リリー 時間がなかったですから。新書とか見始めると、すごく時間がかかるんですよ。『エビと日本人』とか、延々見ちゃいますよね(笑)。

──小さい本も買うんですね。

リリー 小説とか読み物は文庫で読むことのほうが多いですよ。僕、寝ながらじゃないと本が読めないんです。さすがに大判の写真集とかは寝ながらは無理だけど、座って本が読めない。だから、なるべくやわらかい本が好きで、自分の本も『東京タワー』まではほとんどソフトカバーで出してるんです。ソフトカバーじゃないと言い続けていて、最初のころはカバーもつけないペーパーバックにしてたくらいなんです。装丁してるうちに、飽きてきたんでやめましたけど、いまでも本のカバーっているのかどうか、ものすごく疑問に思ってるんですよね。

──ということは、読むときはカバーや帯ははずしちゃうんですか。

リリー いや、はずして読むのはイヤなんです(笑)。でも、帯にも、いまだに疑問を感じてるんですよね。帯にいっぱい書いてあるくらいだったら、書店の人がポップで書いてくれたほうがいい。

──装丁とか造本は本を選ぶ際の基準として大きいですよね。

リリー 字組みも気になりますね。谷川俊太郎さんと武満徹さんの対談集はすごくハイカラできれいな字組みだったんですよ。思わず買ってしまいました。

──その対談集の次に買ったのが『リリー、モーツァルトを弾いて下さい』(笑)。

リリー あれは書名を見て、いちおう買っておかなきゃ、いけないかなと(笑)。

──讃美歌の本を何冊か見てましたが、どれも譜面集ですよね。

リリー ギターコードが載ってるのを探したんです。コードがついてるほうが、どういう曲なのか、わかりやすいなと。どれもピアノの譜面だけでしたけど(笑)。だから小さくていちばん安い本にしました。大きさが違っていても、載ってる曲はほとんど同じで、レイアウトもいっしょだったんですよ。

──譜面集を見ている間、棚の前にあった踏み台を椅子代わりにして腰を下ろしていましたが。

リリー 立っていられないんですよ(笑)。本屋さんに行くと、すぐ座っちゃうんですよね。立っていられなくて屈んで見てることも多いから、屈んで目に入る本ばっかり買ってますよ(笑)。一回しゃがんじゃうと、立ちたくないから、その中で探すみたいな。

──リリー・フランキーに買わせたかったら、下から90センチくらいに置けと(笑)。

リリー それくらいベストですね(笑)。

──まだ図書カードは4万円ちょっと残ってるわけですが。

リリー ほかの買い物だと10万円くらいすぐ買っちゃうんですけど、やっぱり本は抵抗ありますね。1万円超えるのを買うのって。

──グラフィック社の『世界のベストバー100』を手にして、ずいんぶん悩んでいたようですが。

リリー 欲しかったんですけど、9,800円だったんですよ。あと、ピエ・ブックスの『フリーペーパー グラフィクス』。あれも14,000円だったんで。

──棚に戻していましたね。

リリー あとで買おうかな、と思って忘れてました。洋書だと1万円でも、あきらめて買うんですけど。

──残った図書カードで買ってください。

リリー ええ。あの2冊は買いたいですね。『世界のベストバー』は写真がすごくよかったんですよ。あの中に出てくるバーで行けるところは一生に一軒もないだろうけど(笑)。